一部の人はご存じかもしれませんが、私は小さなころから自分の声がコンプレックスで、自分自身に自信がなくて人前に立つこと、何かを見せること(表現すること)がものすごくて苦手でした。
高校時代だって、カラオケなんてやったことない。
「人前で歌うなんて、よくできるなぁ」って思っていました。
ただ、音楽は子供のころに習っていたピアノや中学時代の吹奏楽部で親しみがあったし、クラシックを聴くのが大好きでした。もちろん、洋楽も。
大学時代、イギリスへ語学研修で行った際。
大学の中にpubがあって、そこで日本人の留学生とお茶を飲んでいたのだったか、ランチを食べていたのだったか・・。
そんな時に地下からカラオケの音が聞こえてきました。
イギリス人女性が、カラオケでがんがん歌っていた。私が普段からよく聴く、大好きな曲ばかり。
このあたりの時代の曲は、今の曲と違って、コーラスが結構豊富に入っていたりします。
「あぁ、この曲にコーラスがいるといいなぁ」
「あぁ、この曲かっこよく歌っているなぁ」
「この人、歌がうまいなぁ。素敵だなぁ」
と友人との話は上の空で、地下にいる彼女の歌声を聴いていました。
暫く経った後、どうしても我慢ができなくなり、友人を置いて、突然地下のカラオケスペースへの階段を下りて行きました。
女性が一人、女王様のように立ってマイクを持っていて、周りにそれを聴く数名の人たち。
緊張のため、何と話しかけたか覚えていません。
でもきっと、「素敵です」「一緒に歌いたい」といったような気がします。
そして、彼女とこの曲を歌ったのだ。
歌を歌う。人前で。知らない人に声をかけて。
それもネイティブさん。私が知らない人の前で。
私のことを誰も知らない人の前で。
ハモったし、ユニゾンもしたし、一人でも歌った。
ただ、ものすごくうれしかったし、楽しかった。
この曲が終わって、静寂が戻った時に魔法がとけた。
もうあんな勇気は出ない。
急に恥ずかしくなって、”Thank you.” そして、楽しかった、あなたは素敵ね、とも言ったのかどうかは定かではないけれど、とにかくお礼だけを言って、慌てて階段を上がっていきました。
上の階にいた日本人の友人は、私の突然の行動に驚いた顔を見せていて、突然彼らをおいて、地下に歌を歌いに行ったことを恥じ、バツが悪かったことを覚えています。
でも、もしかしたらあの時の不思議な衝動がなければ、私は今歌っていないかもしれません。
この曲、あれ以来、実は歌っていないかもしれないなぁ。いわゆる、「思い出の曲」ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=eH3giaIzONA&fbclid=IwAR0vj-Ha9R_23VHvRFGmZt3YzwXKAj-imhV2_Y7tWx3_-kxyLkHpJtPfXlA
この記事へのコメントはありません。